2023年8月19日土曜日

40年、妻の介護をする。

 先日、およそ40年介護してきた79歳の妻を、去年、神奈川県大磯町の海に車椅子ごと突き落とし殺害したとして、殺人の罪に問われた82歳の夫に対し、横浜地方裁判所小田原支部は懲役3年の実刑判決を言い渡しました。
 大磯町の被告(82)は、令和4年11月、町内の港で足が不自由な妻(当時79)を乗っていた車いすごと海に突き落とし殺害したとして、殺人罪に問われました。
検察は懲役7年を求刑し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めていました。令和5年7月18日の判決で、裁判長は
「被告は『自分一人で介護をしなければならない』という強いこだわりから、介護施設に入所させることをためらい、一方的に悲観して、被害者の命を奪った。周囲のサポートを拒んでいて、典型的な介護疲れの事案とは同視することはできない」
と指摘しました。
 その上で、
「献身的に介護してきた点は考慮されるべきだが、動機は身勝手で犯行の態様も悪質だ。執行猶予が言い渡された事案とは一線を画すものだ」
などとして、懲役3年の実刑判決を言い渡しました。
判決の言い渡しのあと、裁判長は
「奥さんは最期まで『生きたい』という気持ちがあったはずだ。そのことを改めて考えてほしい」
と説諭されたそうです。

 さて、裁判官の難しい判断での懲役3年です。
これまでの過程のなかで熟慮した結果が出されたと思いますが、実のところ2人にしか分からない40年だったと思います。40年介護してきたということは、本当に大変だったと思います。
だからこそ、執行猶予を付けてほしかったと思うのは、私だけではないはずです。
 やはり、人が人を裁くことは非常に難しいと思うし、後味の悪い裁判になったのは事実です。
ご主人がこの3年間健康に過ごし、健康に任期を全うし、刑務所から健康に出所できることを願わずにはいられません。

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