私の心に残った書籍で、今回は【モモ(時間泥棒)】をご紹介します。
ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品です。1973年に発刊され、1974年にはドイツ文学賞を受賞し、各国で翻訳されました。日本では根強い人気があり、日本での発行部数は本国ドイツに次いで多いようです。
40年以上前に読んで、衝撃を覚えた一冊です。(内容については、興味がありましたら書籍をお読み下さい。)
子どもの時に【モモ】を読み終え、翻訳家のあとがきを読んで衝撃を受けたのです。「将来は社会が進歩し、コンピューターや便利な機械が開発され、私たちの生活は非常に便利になり、また生活が豊かになっていくことで時間を奪われる時代がやってくることを危惧しています。」
と書いてあったと思います。
少年時代の私がどう頭を絞って考えても、将来、社会が進歩し、豊かになって時間が奪われる。
何で危惧するの????…………。と理解できませんでした。
2022年現在、殆どの方が一人一台のスマホを24時間握りしめ、いつでも生活すべての事ができます。仕事では、コンピューターにデータを入力することで、殆どの仕事が簡単に、かつ短時間に片付いてしまいます。また、たくさんのTVチャンネルから自分の好きなドラマや映画などを瞬時に探し出し視聴できる、便利で豊かな生活になりました。
現在の社会生活は便利になりすぎ、スマホやコンピューターに振り回され、私たちの大切な時間さえも奪っているのです。
そうです。翻訳者が危惧していたのは、このことだったのです。
40年以上後の社会を予想していた眼力に唯々感心するしかありません。今後、ますます便利になり、私たちの時間は今まで以上に奪われていくでしょう。
この便利になった世の中だからよく考え、機械に頼るものは頼って、大切な時間を奪われないように暮らしていくことが【モモ】の作者や翻訳者さんに対して返せる答えだと思うのは私だけでしょうか。
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