35年以上前になりますが、私が熊本空港敷地内の乗員訓練所に勤務していた頃、空港周辺の菊陽町は殆ど何もなかった記憶があります。あるとすれば、ゴルフ場と東京エレクトロンの工場と自衛隊の基地があったくらいで、熊本県自体も大きい企業もなく田舎県だったと思います。
さて、コロナ禍では外国で生産される電子部品が日本国内に納品されず、電子部品を使用する自動車をはじめたくさんの製品において納期が数年先になってしまうような異常事態に陥りました。国はこの電子部品生産の反省から国内生産に舵を切り、今回、熊本県菊陽町に台湾のTSMC大型工場を誘致し、2024年2月24日に国内で開所式を挙行したそうです。
TSMCは2027年度末までの稼働を目指し、国内第2工場も熊本県内に建設すると発表しました。開所した第1工場と合わせると設備投資額は3兆円規模になり、日本政府からの補助金は1兆2000億円にも上がる見通しだそうです。
熊本県では、今回の工場誘致の成功により熊本バブルが始まり、周辺の土地価格高騰、ホテル建設ラッシュ、地元の時給も約1800円に上がっているそうです。今後、この工場の本格稼働が始まることで、ますます熊本県民の所得も向上することを考えると、日本経済が疲弊する中で独り勝ちしたと言えるでしょう。
しかし、喜んでばかりはいられません。実は、国が多額の補助金を出したケースで成功を収めた会社はなく、殆どが倒産か海外企業に安く買われてしまっているのが現状でしょう。
今後も熊本県に好景気が続けば良いですが、歴史から考えられることは、いつかバブルが必ず弾けることです。今回の好景気で一喜一憂せず、バブルが弾けても大丈夫なように準備をしておくことも必要でしょう。
熊本県は私の故郷でもあると思っているので、このまま熊本バブルが続いてくれることを願わずにはいられません。
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)
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