相続財産の中には自宅に保管してあるお金、いわゆる「タンス預金」が含まれることがあります。こういった第三者が知らないお金は、相続税の時効が成立すれば申告しないで済むのでしょうか。
実は、相続税の申告・納税は「善意なら5年、悪意なら7年」です。
起算日は「相続税の申告期限」。つまり「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月目」となっています。文字通りに考えると、6~8年弱タンス預金を隠し通せれば申告・納税義務を逃れることができるようです。
なお「善意」「悪意」は法律用語で、善意は「(ある事実を)知らなかったこと」、悪意は「(ある事実を)知っていたこと」を指すそうです。ここでの「ある事実」とは「相続税の申告・納税をする義務があるという事実」になります。
「相続税の申告・納税の義務について悪意があった」とは「わざと無申告した」「申告しなければいけないと分かっていたが、申告期限を忘れた」「相続財産を隠した」などです。
単に忘れただけでも「悪意」と判断されるようなケースでは、逃げ切るまでに7年10ヵ月掛かります。
「数年バレない自信があるので相続税から逃げ切れる」と思いたいところですが、実際には難しいのです。何故ならば、税務署は相続財産を把握しているからです。国民の所得や財産状況を把握する、独自の管理システム(国税総合管理システム「KSK」)が構築されているのです。
また、親族が市町村に提出した死亡届の情報は税務署に通知されるようになっています。これは相続税法第58条で決められていて、通称「ゴッパチ」と呼ばれています。
私たちが通常稼いでいるお金は、残念ですが税務署に管理され、把握されているということになります。
「それなりに相続財産があるのに、相続税の申告がされていない」となれば、税務署は「相続税についてのお尋ね」という文章を出し、相続人に確認を行います。
これは通常、相続が発生して半年から8ヵ月後くらいだそうです。お尋ねを出しても申告がなければ税務調査となりますので、逃げ切りは無理でしょう。
もし、無申告の場合には、相当罪の大きい重加算税のペナルティーが課せられます。相続財産がある方は、お気をつけ下さい。
(※この記事は、相続税の無申告を勧めているものではありません。※)
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