我が家の近くには大きな交差点があり、道路には交差点で停まっている車から投げ捨てられたと思われる「たばこの吸い殻」を見かけるので、その度に拾って処分しています。
先日、京都市内にある私立水族館で、屋外に置いていた水槽の魚類がほぼ死んでしまったという報道がありました。関係者が水槽内を調べると、タバコの吸い殻が1本出てきたということで、これが原因だった可能性があり、同水族館では、展示を一時中止するという報道がなされました。
よく水たまりなどでは、タバコの吸い殻によって変色した水を見ます。その変色した色から考えると毒っぽく感じていたのは私だけではないはずです。
タバコの吸い殻を水に浸した水溶液がどのような影響を及ぼすか調査したところ、喫煙後の吸い殻が最も毒性が強く、低濃度の水溶液でも血液中のヘモグロビンが減ったり、白血球数が大きく増えるなど、ハゼを殺す可能性があることが分かったそうです。
イタリアなどの研究グループが地中海のムール貝に対するタバコの吸い殻の影響を調べたところ、タバコ由来の化学物質(多環芳香族炭化水素など)や重金属の体内蓄積、免疫系の変化、抗酸化反応や神経毒素反応などの増加、ペルオキシソームという代謝などを行う細胞内器官の増加、DNAの損傷といった変化が観察されたようです。
また、ムール貝はニコチンを代謝するための酵素がないため、ニコチンを吸収しても代謝できず、神経毒素が悪影響を及ぼすと考えられているそうです。
若い頃、付き合いで船釣りに行ったことがありますが、漁師さんはじめ船長さん、お客さんのほとんどがタバコを吸ったら海にポイ捨てしていた光景を今でも覚えています。考えてみると、船釣りをしていた場所付近の魚は大丈夫だったのかな、と心配にもなります。
1本のタバコの吸い殻が環境中へポイ捨てされると、1リットルあたり2.5ミリグラムの濃度になります。ニコチンは殺虫剤に使われるように毒性も強く、ヒトの大人の経口致死量は40ミリグラムから60ミリグラムとされているので、吸い殻1本でも小さな生き物にとっては生死にかかわる濃度になっていることが考えられます。
愛煙家の方は、タバコのポイ捨てでたくさんの環境被害が発生することを十分に理解して喫煙してほしいものです。
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