2023年11月10日金曜日

処遇改善として月6,000円?

 政府は介護従事者の離職や求人不足対応策、この所の物価高騰など勘案した中、早くも来年4月から月6,000円程度の処遇改善を調整しているようです。

 私は2000年の介護保険が始まった頃から介護業界に関わっています。現在も経営している側として言えるのは、2000年当初から介護者の時給単価は変わっていないと思います。23年前の当初は介護報酬もよく、異業種からの開業も当たり前の時代でした。

 2000年当初に経営参画した経営者は、現在殆どが介護事業はやめています。ある経営者に聞いた話ですが

「当初は儲かったが、今は利益を上げられないし、今、介護業界に参入する経営者が理解できない」

とも言っていました。

当然な理由であり、今の介護報酬では経営が大変です。

 日本経済を考えると、ここ40年、年収が殆どの業種で上がっていないので、介護業界が2000年当初から上がっていないからと言って不思議ではないし、問題ないと考えられるでしょう。

 介護業界の離職問題や求人が集まらない問題は別のところにあり、報酬を上げたからと言って、スタッフが集まるとは到底思いません。高い報酬を頂いたとしても他人の排泄介助や認知症でのセクハラ・パワハラ、汚れた家での清掃など想像を絶することもあります。

 現在、国内は円安で物価が高騰している中、若者が海外に職を求めて脱出しています。

今、世界中で介護職の需要が高まっている中、日本人の献身的な介護スタッフの需要は比例して高まってきています。国内で介護職をしている人が報酬や働き甲斐、尚且つ働く労働者側を守るルールの厳しい海外へ行くのも普通でしょう。今後、日本を脱出する若者が増えてしまうのかなぁ、と私は危惧しています。

 日本は将来的に、介護保険が始まる前の家族は家族がみる時代に逆戻りするのは時間の問題でしょう。

 何故かと言えば、今スタッフがいないため、新規の仕事も受けられず。介護を依頼したい家族はヘルパーに頼ることも出来ず家族が対応しなければならず、介護難民が増えている事実もあるからです。

 経営者の私とすれば、処遇改善としてスタッフの為に報酬を値上げするための原資を頂けるのは嬉しいことではあります。上部業界団体は、処遇改善額が6,000円では少なすぎると国へ提言していますが、果たしてどうなのでしょうか。私は、どんなに金額を上げたところで問題解決には至らないと考えています。


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