日本人は世界一礼儀が正しい民族として、世界的に評価を得ています。スポーツの国際大会などで日本人観戦客がゴミ拾い行動をする様子が世界中に放送されるたび、誇らしく感じたのは私だけではないはずです。
一方で「日本人は世界一意地悪だ」とも言われています。日本人が意地悪であるということを、大阪大学社会経済研究所は、あるゲームを用いて科学的に証明しました。
そのゲームのルールは参加した大学生がペアになり、双方で10ドルずつ所持し、それぞれお金を出し合い、出した金額の1.5倍をお互いに等しく受けとることができる、というものです。
例えば、双方が10ドルずつ出し合えば、最終的に手元に残る金額は30ドルになります。片方が0ドル、もう片方が10ドルならば、前者が25ドル、後者が15ドルになります。ともに1ドルも出さなければ双方の手元に10ドルが残るだけです。
このゲームを行った京都先端科学大学特任教授の西條先生が
「このゲームは相手がどの額を出しても、自分は10ドル出すことがベストな戦略になります。出した額の1.5倍は確実に返ってくるからです。しかし、10ドルよりも少ないお金を出すことで、自分がもらうお金が減るものの、相手より多くのお金を得ようとしたのです。この結果に驚きました。」
つまり、学生たちは自分が損してでも相手より優位に立つことを選んだようです。
また、このゲームを同じように日本の筑波大学、アメリカの南カリフォルニア大学とパーデュー大学で行い、異なる文化圏でどのような変化が出るかを調査したそうです。
その際、金額を出す前にまず投資への参加、不参加を選び、それを表明するというルールも追加したそうです。その結果、相手が不参加で自分が参加となった場合、自分の拠出する金額を抑えることで、想定の相手の取り分を半分以下までに減らす行動を取った。つまり、損を承知で相手のタダ乗りに制裁を加えたそうです。
このゲームで日本人の方がアメリカ人と比べて意地悪な行動を選びやすいことが分かりました。自分だけ参加を表明した時、他の不参加者の利益を下げるため投資額を下げる選択をした人の割合は、南カリフォルニア大学では12%なのに筑波大学では63%、都立大学とパーデュー大学での比較でも同じ傾向が見られたそうです。
日本人は自分がもっと得をするような行動はせず、自分が得をすることよりも、相手のタダ乗りを許さずに、少しでも相手の足を引っ張ろうとする傾向がある。こうした経験をしてしまうと、タダ乗りを狙っていた人も次回からは参加せざるを得なくなる。結果として日本の社会では、皆が仲良く協力的に事に当たっているのではなく、協力しないと罰を受けることが分かっているから、協力せざるを得ない社会ということが示唆されたそうです。
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