現在、世界のどの国においても臓器の提供は足りておらず、2008年の国際移植学会で
「移植が必要な患者(患児)の命は自国で努力すること」
という主旨のイスタンブール宣言が出されました。それにより、海外渡航による臓器移植に頼っていた日本でも臓器移植法の改正に拍車がかかり、2009年に改正臓器移植法が成立、2010年7月に全面施行となりました。
しかし、待ちきれない患者(患児)が募金活動などに頼って高額な資金を得て、海外渡航するケースが続いているのが現状です。国は国内で臓器提供者を増やすために大々的な広報活動を行い提供者が増えているのも事実ですが……。
脳死者から提供された臓器の移植手術実績上位の3大学病院で2023年、人員や病床などが不足し、臓器の受け入れを断念する例が60件超あったことが分かったそうです。
東京大では少なくとも354例あり、例年の4倍に急増したそうです。また、京都大と東北大でも提供数が大きく伸びたが、限られた移植施設に要請が集中したため断念するケースがあったようです。
断念する例が増えた背景には、脳死下の臓器提供が増加していること、これに伴い臓器の摘出手術が複数行われる日が急増、移植施設に同時期に臓器受け入れ要請が重なる例が増えたことにもよるそうです。
東大病院長は
「臓器提供が増えているのは望ましく、受け入れるように尽くしてきた。スタッフも病床も対応できる限界を超え、病院だけで改善するのは難しい」
と話しているようです。
当初は臓器提供者不足で中々臓器提供に繋がりませんでした。現在は臓器提供者が増えてしまった(増えることは悪い事ではありません)ため、対応する人員や時節不足などによる原因で、臓器移植を見送る状況になってしまうという、別の問題が足枷になっているようです。
臓器移植は計画的に行うことができません。突然事故などにより提供者が現れるため、施設や機材を増やしたところで、最終的にはスタッフを招集するのが大きな問題として残るでしょう。
日本国内で臓器移植を待っている患者(患児)のためには、早急に対応して頂きたいですが、昨今の人員不足の中でどこまで対策を打てるかは期待薄でしょう。
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