覚えているでしょうか?
2018年6月9日午後9時45分頃、新横浜ー小田原駅間を走行していた東海道新幹線のぞみの12号車で、乗客女性2人が切りつけられ、それを止めようとした兵庫県の会社員の男性(当時38歳)が首などを切りつけられ死亡した痛ましい事件が発生しました。
現行犯逮捕されたのは、当時22歳の住所不定の無職男性(28歳)でした。
裁判の中で男性は
「一生刑務所に入りたい」「無期懲役になりたい」
などと言っていたそうです。横浜地裁小田原支部は2019年12月18日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡しました。男性は判決を聞いた後、法廷で手を挙げながら「ばんざーい」と3回大きな声で叫んだそうです。
男性は受刑者となり、5年にも満たないですが、堀の中での生活が期待した通りであることを度々強調しているそうです。
「信じられないかもしれないが、私は今とても幸福です。こうなることは人を殺す前から分かっておりました」
「日本の刑務所は素晴らしい。ここにはまだ希望がある」
と言っているそうです。一方では、これまで男性が社会でうまく適応できずに苦しんだ、と思わせる言葉もあったそうです。
「刑務所は衣食住が当たり前であり、友人も仕事も娯楽も全て用意してもらえる。社会ではこれらを得るために努力しないといけないのだ。ところが刑務所は努力しなくてよい。社会にいる時にあれだけ欲しかった食物、どうしても得ることが出来なかった食べ物が、ここでは食べないと食べて下さいとお願いされる」
男性は事件を起こす前、半年にわたって野宿生活を送っていたそうです。
この「家出中」に新幹線での無差別殺人を計画したようです。
判決で裁判長は
「刑務所での服役の日々を送らせ、受刑の現実に直面させることで、その刑責の重さに向き合わせることが相当である」
と述べたそうです。これに対し男性は
「裁判長が『受刑の現実に直面させる』と仰っていたが、さて、どうだったでしょうか」
と挑発し、
「死ぬまで刑務所に居てもよい無期こそ、私と国は一つとなる。無期なら国が死ぬまで面倒を見てくれる」
と……。
裁判では、罪に対して責任を全うさせるための処罰であるべきものだが、男性に対しては全く無意味で本人が望んだ天国(刑務所)に送り込んでしまうような日本の刑事司法は間違っているのでしょう。
これでは亡くなってしまった方が浮かばれず、残された家族は一生無念を引き摺り生きていくしかありません。
今、日本は暮らしにくい社会になっているのでしょう。
このような事件が今後増えていくと予想できますが、日本社会では、セーフティーネットが確立されています。誰もが日本国憲法にのっとり、最低限に生活を営むことができますが、弱者には利用しにくい制度なのでしょう。(実際にセーフティーネットの利用方法が分からず、セーフティーネットから零れ落ちてしまう弱者が居るのも事実だと思います。)
また、日本の刑事司法も、ただ犯罪者を処罰するだけの機関ではなく、今後このような犯罪が起きないように取り組んで頂きたいものです。
一番大切なことは、このような社会に生き辛さを感じている者が気軽に利用できるように、セーフティーネットの更なる改善をお願いしたいです。
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