この『生き方』の書籍は、町工場から世界有数の企業「京セラ」を創業した稲盛和夫さんが執筆したものです。
この中には著者が町工場経営者だった頃に参加した世界有数の家電会社を興した経営の神様と言われている、松下幸之助さんの講演会での逸話が書かれています。
この講演会にはたくさんの経営者が参加されていたそうで、その中で松下幸之助さんが会社経営には
ダム式経営(最初から一定の余裕をもった経営の在り方であり、あたかもダムに入れた水を必要に応じて徐々に流していくように、例えば需要に変動があった場合、品物が足りなくなったり、余り過ぎたりしないように、余裕設備を動かしたりして、安定的な経営を進める)
が大切という話をしたそうです。そこで、聴講者の1人が
「ダム式経営が重要なのは、もの凄く分かりました。それをしたくてもできないからどうすればいいのか方法を教えてくれ」
と質問したそうです。
その答えに、松下幸之助さんは
「それは私も知りませんねん。ただそれを強く思わないといけませんな、願い念じることが大切ですわな」
と言ったそうです。
その時、松下幸之助さんは質問者さんはじめ、周りの人から
「ダム式経営が大切、大切と言いながら方法を知らんのかい」
と失笑を受けたそうです。その中で、聴講者の1人・稲盛和夫さんが
「そう言うことか」
と衝撃を受けたそうです。この『願い念じることを強く思うことが大切なんだ』と……。
残念ですが、この講習会で失笑した殆どの会社経営者は倒産したそうで、この会場で唯一衝撃を受け理解できた稲盛和夫さんのみが世界有数の経営者になったそうです。
残念ですが、同じ講演会を聞いたとして理解できる人とできない人はいます。
どうようにやるかの方法論よりも、ダム式経営をやらなければいけない、と強く念じることをイメージして進めることこそが必要であり、それを実践したのが稲盛和夫1人だったのです。
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