2000年の介護保険がスタートした頃は、介護事業が始まったばかりということもあり、色々な業種(例えば土木、建設関係)の企業が挙って参入しました。当初は介護報酬も高額で、準備金約300万円あれば始めることができ、すぐに資金回収も行え、スタッフ募集をすればすぐに集まった時代でした。
今では儲からなくなってしまい、当初から参入していた企業は殆ど閉鎖、または廃業しています。
現在は続ければ続けるだけ赤字となり、
「やりがい搾取」「親切の搾取」「何々の搾取」
等と言われるほどの職種になりました。介護職に関わるスタッフが集まらない状況に至っています。
私自身、介護事業を生業としているため、毎日がスタッフのこと、お金のこと、と色々悩みは尽きません。人は1度落ち込むと、その不幸が永遠に続き何時まで経っても良くならないと思ってしまい逃げたくなってしまいます。
さて、中国3000年と言われるだけあり、中国にはたくさんの書物があります。その古い書物「淮南子(えなんじ)」に書かれている言葉があります。
中国の北の方に占いの上手な老人が住んでいました。更に北に胡(こ)という異民族が住んでおり、国境には城砦がありました。ある時、その老人の馬が北の胡の国の方角に逃げてしまいました。この辺の北の地方の馬は良い馬が多く、高く売れるので近所の人々は気の毒がって老人を慰めました。ところが老人は残念がっている様子もなく言いました。
「このことが幸福にならないとも限らないよ」そしてしばらく経ったある日、逃げ出した馬が胡の良い馬をたくさん連れて帰ってきました。そこで近所の人たちがお祝いを言いに行くと、老人は首を振って言いました。
「このことが災いにならないとも限らないよ」しばらくすると、老人の息子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまいました。近所の人たちが可哀そうに思って慰めに行くと、老人は平然と言いました。
「このことが幸福にならないとも限らないよ」1年が経った頃、胡の異民族達が城砦に襲撃してきました。城砦近くの若者はすべて戦いに行きました。そして、何とか胡人から守ることができましたが、その多くはその戦争で死んでしまいました。しかし、老人の息子は足を負傷していたため、戦いに行かずに済み無事でした。
長い人生は楽しいことや嬉しいこともあれば、辛いことや悲しいこともありますが、何が幸福で何が不幸かはすぐに決まるものではありません。
介護事業は大変ですが、上手く行って嬉しい時は自己を律して、上手く行かず悲しい時には将来必ず幸福が訪れるものと信じて、毎日を明るく元気に過ごします。
「人間万事塞翁が馬」
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