2008年の国際移植学会で
『移植が必要な患者の命は、自国で救う努力をすること』
という趣旨のイスタンブール宣言が出されたことで、原則として海外渡航による臓器移植は事実上禁止されました。
このイスタンブール宣言により臓器移植法の改正に拍車が掛かり、2010年7月17日には「改正臓器移植法」が施行されました。
それまでは脳死による臓器提供には、本人の書面による生前の意思表示と家族の承諾が必要でしたが、それ以降は本人が生前に臓器提供の拒否の意思を示していなければ、家族の同意で脳死の方からの臓器提供が可能となりました。
その結果、15歳未満の子どもからも脳死臓器提供が可能となりました。
そんな中、アメリカでは年間約1万4000人が臓器提供を行っていますが、日本では年間100人前後だそうです。
2021年の人口100万人あたりの臓器提供数(脳死後と心肺停止後の提供)で比較を行うと、アメリカは100万人あたり41.6例、スペインが40.8例に対し、日本は0.62例となるそうです。
今、社会保険料が高騰している日本であるなか、政府は特に移植医療に対して積極的に働きかけを行っているにもかかわらず、提供者が爆発的に増加する気配がありません。
先日、第1回山梨県移植医療地域推進議会が行われ、今年度より(公財)山梨県臓器移植財団から声を掛けて頂き、参加させて頂きました。
会議内容は、移植医療を推進するための現状報告と、現場医療スタッフの壮絶な取組の発表があり、想像を遥かに超えた現状を知らされ感謝の言葉もありません。
現在、移植の対象となる臓器は、臓器移植法等により定められた『心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球』となっています。
これらの臓器を必要としている患者・患児はたくさんいるにもかかわらず、臓器提供者が少ない日本です。
AC広告や各都道府県等で広報活動を積極的に行っているにもかかわらず、一向に増加していません。
問題は多岐に渡ると思いますが、家族皆が集まった時にでも『臓器提供』について話し合って頂くことが大切だと思います。
当然『お断り』という方も居るでしょう。しかし、それも含めて一度家族で話し合ってもらうことこそが、臓器提供増加に繋がる一歩だと思います。
私たちは、いつ病気や事故により臓器を必要とする身体になるかもわかりません。だからこそ、家族会議を行うことで『提供する・提供しない』の意思確認をして頂ければ、と思います。
この臓器提供は究極のボランティアであり、移植を待っている患者・患児は移殖することでこれまでの不自由な生活から卒業できることは事実です。
今後、日本国内で1人でも移植提供者が増え、日々不自由な生活を送られている患者・患児が1人でも減少していくことを願わずにはいられません。
(※臓器提供の意思表示は、運転免許証の裏側で行うことが可能となっています。もし、意思表示を行っておきたい方がいましたら、運転免許証の裏を見てみて下さい。
また、臓器提供意思表示カードというカードが県庁や各保険福祉事務所、市町村などの行政窓口等で入手できる場合もあります。)
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