2024年度の介護報酬改定で訪問介護事業所の基本報酬が引き下げられ、予想通り訪問介護の運営会社の倒産や廃業が増加しています。
このヘルパーの成り手のいない状況の中で、ヘルパーの報酬が少ないとも言われ国は『処遇改善加算』なる制度を作りました。ヘルパー業務でいっぱいいっぱいの中で処遇改善を頂くための条件をクリア―するために訪問時間以外に教育をすること、何々の資料を作ること、はたまたヘルパーの最高位資格である「介護福祉士の取得」など、色々な条件が課されています。
家庭を持っているヘルパーに対して給与を上げさせたくないためか、色々な条件を国は付けクリアーできれば『処遇改善加算』を付加する制度設計にしています。
どう考えても加算を出したくないようにしているとしか思えません。
利用する高齢者にしてみれば、ヘルパーの条件は
『優しい、掃除が上手、料理が上手など』
と国が進めている条件とは相反します。(もちろん、虐待の防止や事故発生時の対応等、大切なことも条件として盛り込まれてはいます。)
実際、日々勉強し、また介護福祉士を取得したところで、料理・掃除が上手になるわけでもなく、勉強したからと優しいヘルパーになることができるわけでもありません。(ヘルパーとしての心得はある程度学ぶことはできますが……)
元々、家事一般の作業が多い為主婦歴の長い女性が喜ばれるわけです。
また、身体介護にしても子育ての経験がある女性は排泄の処理経験もあるため、主婦歴の長いヘルパーと主婦歴のない介護福祉士とでは、主婦歴の長いヘルパーが高齢者から喜ばれるのは当たり前です。
しかし、国の制度上高齢者のヘルパーは仕事が出来ず高齢者に喜ばれなくても、介護福祉士さえ持っていれば処遇改善を加算し給与を増やしますよ、というルールであり、高齢者に喜ばれるヘルパーは介護福祉士を取得していない方も多いと思います。
また、自身の家庭の時間を割いてまで資格取得の余裕はなく、仕事が出来るかつ高齢者から喜ばれ引っ張りだこであっても、高額な報酬を頂けない制度になっているため、出せない結果となります。
私自身、ヘルパーにはもっと出したいと考えていても、基本報酬が少ない為出せないのが本音です。
今、国はヘルパーの報酬が少ないから成り手が少ないと言っていますが、果たして本当でしょうか?
実際、ヘルパーは色々な利用者様のところに入っています。時には生活保護のお宅にも入りますが、制度のおかげでサービスが行き届いているため部屋は清潔に保たれています。食事に関しても、国産の高級食材を使用した美味しいものを食べている方もいるようです。
そんな方々のお宅に行くヘルパーは
「こんなに頑張っている私たちの家より掃除が行き届いていて、かつ普段私たちが食べない高級食材で食事が摂れるなんて……」
と愚痴を溢します。
これが日本における頑張っている者が損をする社会であって、生活保護の制度なのです。
(※全員が全員そのような生活を送っている訳ではないです※)
真面目なヘルパーであったら行きたくないですし、1度経験したヘルパーも辞めたくなってしまうと思います。
ヘルパーの成り手が居ない原因は報酬だけではなく、社会制度全般が問題なのでは、と思います。
今、業界団体や一部国会議員は介護報酬値上げを呼び掛けて下さっていますが、社会保障費が無いのに上げられるわけもなく、まずなすすべきことは社会保障費の無駄を省いて介護報酬の値上げが建設的で現実的な策だと思います。
そう言えば、生活保護を引き下げられたと裁判をした生活保護者たちに裁判所が、保護費を下げたことは不当だとの判例が出ました。
こんなことをしていたら、社会保障費は確実に高騰するでしょう。結局のところ、私にも真の原因は分かりません。
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