2023年1月7日午前6時20分頃、成田空港にドイツから発信された番号で電話がありました。英語で「貨物室に100キロのプラスチック爆弾を仕掛けた。マネージャーを出さなければ爆破させる」と。
離陸からおよそ20分後の午前6時53分に、成田空港会社の警備防災センターからジェットスター・ジャパンの本社にいた運行管理の担当者に爆破予告があったと連絡が入りました。午前7時半すぎ、中部空港に緊急着陸し、脱出用のシューターが展開され、乗客たちは次々とシューターを滑り避難していきました。空港の管理会社などによりますと、脱出時にすり傷を負うなどして5人が怪我をしたが、いずれも軽症だったようです。
今回の緊急着陸について元パイロットで航空評論家の小林宏之さんは、次のように指摘したそうです。
当該機の運航のコメントほか、着陸後の脱出用シューターが使用されたことについては
「速やかに乗客を脱出させるには脱出用シューターを使うのが最も早い。もし爆発することがあった場合には犠牲者が出てしまうので、今回もシューターを使って出来るだけ早く乗客を機体から離すという鉄則に従って判断したと思う」
とのことでした。
幸いにも虚偽の事件で、空中爆発等の大きい事故に至らなかったことは喜ばしいことでした。
しかし、私が一つ気にかかったことで乗客の撮影した脱出シューターからの画像を見てビックリしたことがありました。
乗員(CA・キャビンアテンダント)のサポートなく、脱出用シューターから乗客が避難しているではありませんか。
基本的には、乗員がシューターから滑り降りてきた乗客を着地する前に、安全に着地できるようにサポートすることになっています。そのサポート要員が誰一人いないで避難している状況で、画像からは乗員が法令で定められている緊急避難訓練通りに対応している様子が確認できませんでした。
だから、乗客が荷物(シューター避難時には、荷物は機内に置いていくことになっています)を持って滑ったり、女性がハイヒール(ハイヒールの尖った部位でシューターに穴が開く危険があり、また怪我の元になるためハイヒールは脱ぐようになっています)のまま滑り出したりしています。
幸い脱出時の5人の軽症者で済みましたが、緊急避難訓練通りになされていれば防げた事故です。航空機に搭乗する場合は、非常口付近の乗客には、緊急着陸時の場合のお願いがされていたはずだと思いますが、その方すら画像からは確認できませんでした。
日本国内の大手航空会社であったならば、このようなお粗末な脱出用シューターの使い方はなされなかったと思います。料金の安い航空会社はこのような基本的な訓練通りの対応が出来ないことが露呈した事故だと感じたのは、私一人ではないはずです。
余談ですが、私は元職の立場からシューターが展開されたからシューター交換整備に何時間で、シューター整備費用など幾らいくら掛かってしまう、と計算してしまう自分がいることに笑ってしまいました。退職してから30年以上経つのに……。
※2023年1月7日夜間配信されたインターネットでの「乗りものニュース編集部」から旅客機の緊急着陸「正しい脱出法」?ジェットスター事件で見えてきた数々の“ルール違反”と指摘されていました。
※1月13日の定例会見で、斉藤鉄夫国交相は「ジェットスター・ジャパンの緊急着陸した非常用スライドを用いて脱出した際に乗客5名が負傷した件について、安全監査を行うこと」を明らかにした。
(興味がありましたら、航空機の非常時の脱出シューターの動画を参照下さい。必ず機体側に滑り出しを指示する乗員とシューター下には着陸時にサポートする乗員などがいます。)
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