寄付された食料を生活困窮者に提供する「フードバンク」の活動が、セーフティーネットとして存在感を増す中、支援要請に対応できないケースが生じているそうです。
コロナ禍に伴う雇用環境の悪化や物価高騰などの影響で、困窮者支援としての需要が拡大しているためだそうです。多くの支援団体は公的な助成金などに頼って運営をしているのが実情で、専門家は「支援団体側の活動を後押しする仕組みが必要」と話しています。
「毎月必ず提供してくれる食品や食材が、活動の生命線になっている」と大阪市住吉区で子ども食堂を采井する社会福祉士のAさん(34歳)。Aさんは支援を受けるNPO法人「ふーどばんく OSAKA」の活動の重要性を強調しています。
運営資金は行政や民間の助成金だけでは十分でなく、職員は非常勤を含め6人と少ない状態の中、食料の回収や配送の人手が足りないそうです。扱う食品の量は当初の年間約40トンから、昨年は約240トンまで増えてしまい、契約している食料倉庫は約50トンまでしか管理できないこともあり、限界にきているそうです。
農林水産省の調査によると、平成12年から国内でフードバンク活動を行う団体が発足し始め、平成19年度までには10団体未満で推移していました。平成20年のリーマンショックを機に急増し、平成20年度には107団体となり、令和4年10月時短では215団体に上ったようです。
フードバンクに詳しい日本女子大の小林富雄教授(フードシステム論)によると、
「国や自治体がフードバンクに社会的なセーフティーネットとしての役割を期待するのであれば、経済環境の悪化に応じて、資金面や運営面でさらに踏み込んだ支援をする必要がある」
と話しています。
現在の社会状況を考えると、ますますフードバンクに頼る困窮者が増えていくのは予想できます。
フードバンクが食品を提供するだけでは、この状況を抜け出すことは不可能でしょう。他団体との協力をし、食材と合わせて就労の機会も提供するような形で運営していかないと、フードバンクの活動自体立ち行かなくなるのが目に見えています。
フードバンクの団体自体もこれまでの食材を提供するだけの活動ではなく、時代に即した活動に移行していく時がきたのではないでしょうか。
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