日本は精神科のベッド数が世界で一番多いそうです。また、一般の疾病の入院日数が30日であるのに対し、精神科への入院日数はその10倍以上の390日になっているそうです。世界の主な国と比較をしても、この入院日数は異常でしょう。日本の精神科入院は、治療の他に、社会との隔離のための「社会的入院」が行われているようです。
そのような中、イタリアでは今から40年前、世界に先駆けて精神科病院を全廃し、地域で治療を行うことを選びました。
「精神病の治療に必要な物は何か?」
こうした根本的な問いに、実践を通じ向き合い続けた末の考えだったようです。
戦後の危機において、イタリアは徹底した地域保健サービスの道を選択しました。その改革の先頭に立ったのが「フランコ・バザーリア」という精神科医でした。
フランコ・バザーリアは大学卒業後、13年間大学助手として働き、1961年に採用試験を経てゴリツィアの精神科病院長に就任しました。院長に赴任した彼は、鉄格子で囲まれた隔離部屋や、患者に対する強制投薬、身体拘束が当たり前のように行われている病院の実態に驚いたのです。
当時のイタリアの精神科病院は「病院」という「刑務所」に「患者」と言う名の「囚人」が隔離され人知れず死ぬ、まるで収容所のような場所だったそうです。このことを世に知らしめるために、写真集の発行やテレビ放映、本の出版という、いわゆる内部告発に知恵を絞りました。1970年にトリエストの精神科病院に就任後、知り合った県代表の政治家ミケーレ・ザネッティと共に精神科病院棟への改革を進めて行ったのです。
イタリア全土の精神科病院を解体し、地方の精神保健センターへの全面転換を図ることを決めた精神保健法(180号法、別名バーザーリア法)の制定したのです。それからイタリア全土で精神病院棟の閉鎖が完了したのは、法律が施行されてから20年以上も後の事だったそうです。
今、日本では地域移行支援、地域定着支援という支援を行っています。
将来的には、精神病棟の閉鎖も視野に考えて取り入れられたことだと思います。果たして、この精神病院のベット数の多さや、入院日数の長さなどから考えた中で、日本が精神病棟の閉鎖について国、医師会、行政がしっかりと議論して、世界的な流れの閉鎖も含めて検討していく時代に入ったのではないでしょうか。
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