2023年9月19日火曜日

「13歳で精神科に強制入院」させられた少年が提訴

 母親との関係などでトラブルを抱えていた少年が13歳ころ精神科に強制入院させられたことをめぐり、関わった大人たちを提訴したそうです。保護を目的としたはずの措置が、逆に少年を傷付ける結果となり、少年は措置入院の在り方に問題を指摘しています。

 少年Aさんは、5年前の13歳の時、都内の自宅から中学に登校中、突然見知らぬ大人に取り囲まれたそうです。そして

「とにかく『車に乗れ』っていうことで、制服のボタンもちぎれるくらいの力で引っ張られて」

児童相談所の職員らによって「一時保護」という形で車に乗せられたAさん。そのまま知らない精神科病院に連れていかれ、診察の結果、意に反して一時、閉鎖病棟入院させられたそうです。(1日後には一般病棟に移ったそうです。)

 当時、Aさんは母親とトラブルを抱えていたようで、当時の自宅写真を見ると、食べ物が床に散乱しているような荒れ放題の部屋だったそうです。2人暮らしだった母親とは折り合いが悪く、母が物に当たって投げたり、口論がエスカレートし双方が暴力に及んだりすることがあったようです。

この状況から母親と児童相談所との協議の結果、当時は適切な形で「措置入院」という形の強制入院がさせられても問題ない状況だったと推測できます。

 しかし、Aさんは

「不都合な子どもではあったと思うんですけど、少なくとも強制入院の要件に当てはまる子どもではなかった」

と言っているようです。

 Aさんが13歳の時の措置入院について、現在19歳になって提訴しました。Aさんが13歳の時、たくさんの関係者が検討した結果、当時措置入院という選択がされたのでしょう。その上で、19歳の現在、措置入院の在り方に対して提訴しましたが、これが裁判で違法な行為だと認定されたならば、措置入院の制度が根幹から崩れてしまうでしょう。そうなってしまうと、今後、措置入院が出来なくなり、大きな事件や事故に行きついてしまうのではないか、と怖くなってしまいます。

 今回、Aさんが提訴しましたが、措置入院の制度自体、お互いが納得した上での運用はできないので、非常に難しい問題ではあります。運用する場合、たくさんの方が関わり運用されているので、事件や事故を未然に防ぐ意味では、今、考えられるギリギリの制度です。

 この制度が運用出来なくなれば、本来守らなければならない当事者を助けることができなくなってしまう、と私は危惧しています。

全国児童相談所一覧|厚生労働省

精神科の入院制度


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