ユーミン(松任谷由実)の大ファンの私は『ボイジャー』と聞けば、1983年12月1日に東芝EMIからリリースされたCDを思い出します。実は1984年にリリースされたシングル曲『VOYAGER~日付のない墓標』を聞くと、NASAの探査機『ボイジャー1号』が暗黒の中をさ迷っているシーンが脳裏に浮かびます。
さて、『ボイジャー1号』の20年間眠っていたスラスター(人工衛星・惑星探査機などの宇宙船では、主に主推進以外の姿勢制御や起動の微調整に使うもの)が奇跡的に復活しました。
この復旧作業は、ボイジャー1号が地球と通信を維持し続けるための「最後の希望」だったそうです。
ボイジャー1号は1977年に打ち上げられたNASAの探査機で、現在地球からおよそ240億キロメートル離れた星間空間を飛行中で、秒速17kmという途方もない速度に達しており、史実上最も遠くに到達した人類の手による人工物だそうです。
当初は木星や土星などの外惑星探査が目的でした。その後は星間空間(インターステラー)調査にミッションを移行し、通信や姿勢制御を維持するために使われているスラスターも、すでに設計寿命を大きく超え稼働しているそうです。
(1977年に地球から旅立ったと考えると、約半世紀ずっと宇宙を旅していることになります。)
現在使用されているスラスターも、2004年にメインスラスターのヒーターが壊れて以降、ずっとバックアップのものが代用されてきたそうです。
しかし、そのスラスターの燃料配管に「推積物」が蓄積し、数か月の間に動かなくなる恐れが出てきたそうです。
さらに追い打ちをかけるように地上からの指令電波を送る唯一のアンテナ(オーストラリア・DSS-43局)が2025年5月から数か月間メンテナンスで停止することが決定されたそうです。
これ以降、もし通信が途絶えれば、ボイジャー1号との接続は永久に失われる可能性があったそうです。
打開策のためNASAのエンジニアたちは、『2004年に死んだとされた主スラスターを再起動せよ』というミッションのために、20年以上前に動作不能とされた主スラスターの再起動に挑戦したそうです。
調査の結果、ヒーターが壊れていた訳ではなく、電力供給回路の異常によって「スイッチが誤作動していた」可能性があると判明したそうです。これにより、スイッチを元に戻すことができれば、ヒーターを再起動できスラスターも復活するかもしれない、という希望が見えてきたそうです。
ただし、この作業には大きなリスクもあるそうです。再起動中に探査機の向きがずれると自動的にスラスターが作動するようにプログラムされているそうです。また、ヒーターがまだオフのままだと内部に圧力が掛かって損傷する恐れがあったそうです。
そこでチームは探査機の「スター・トラッカー(恒星追尾装置)」の向きを精密に調整し、慎重に再起動を実施したそうです。
再起動命令が送信されボイジャー1号からの電波を地球まで片道23時間以上かかるため、操作結果が分かるまでには地球時間でほぼ1日を要したそうです。
そして、待ちに待った信号が戻ってきた時、スラスターのヒーター温度が上昇していることが確認され、復旧が成功したことが確定したそうです。
今後、星間空間から唯一の実績データを送り続けることが分かりましたが、電波を供給する原子力電池は年々低下しているそうです。
ボイジャー1号がんばれー……!
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