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その中で、今回は臓器移植について、私の感じていることを述べさせて頂きます。
日本国内では、日本臓器移植ネットワークがあり、臓器移植を必要とされている患者・患児のサポートをして下さっています。しかし、なかなか提供する側、特に子どもの臓器提供が少ない(ほぼないに等しい)と思います。結果として、日本特有の友人知人の協力による募金の海外渡航移植(移植ツーリズム)に繋がっています。
海外渡航移植は、先進国を中心とした富裕層が発展途上国の貧困層から臓器を買う臓器取引(臓器売買)、及び移植のための渡航の一種である移植ツーリズムは公平・正義・人間の尊厳の尊重といった原則を踏みにじるものであるとして、世界的に問題視されています。国際移植学会やWHO(世界保健機関)で規制の方針が打ち出されています。
また、先進国などでは、臓器移植はドナーの順番待ち制度に基づいて行われているので、国外から来た順番待ちリストの上位に載せられた患者・患児(順番待ちリスト上位になる条件は公表されていませんが、金額だと噂されてはいます。)を受け入れた分だけ、その患者・患児よりも下位に載せられた自国の患者・患児が、臓器移植を受けられずになくなることもあり得ます。
そのため、臓器売買とは異なるものだとしても、同様に外国から渡航移植を拒否や制限されたりするのは当然であるという主張があります。
2008年5月の国際移植学会において、必要な臓器は各国内で確保する努力を求める指針『臓器取引と移植ツーリズムに関するイスタンブール宣言』が採択され、海外渡航移植の原則禁止が提言されました。
これを受けて2010年5月のWHO総会で、臓器移植手術を受けるための海外渡航が原則禁止となり、臓器移植に関する新指針が採択されました。一方で、渡航移植が移植ツーリズムとみなされないように移植の透明性を確保する仕組みを整え、自国でのケアが受けられない人々に対する公共の観点から渡航移植を受け入れている国もあります。日本が該当し、全国的に特に子ども(患児)において募金活動が行われ、渡航移植を行います。
しかし、WHOとしては、海外渡航による臓器移植は原則として禁止です。
以前、日本に子どもの臓器が不足していることも踏まえ、長男が亡くなった時、主治医に「長男の臓器を研究や移植に使って下さい」と伝えたところ、主治医より
「これまでたくさん、研究で使わせて頂きました。もうこれ以上、体にメスを入れるのはやめて早く天国に送ってあげましょう」
と言われた時、私の瞳からはどっと涙が溢れ、我に返り、安心したのを覚えています。
そして、今考えてもドクターの言葉に間違いはなく、長男を提供しなかったことに後悔はありません。
日本で移植医療が進まないのは、特に宗教観の違いが強いのではないかと私は思っています。
今後、移植医療の技術が向上したとしても、国内では移植医療数は現状維持だと思います。
一般社団法人 日本移植学会
日本臓器移植ネットワーク
公益財団法人 山梨県臓器移植推進財団