私の家族は珍しく、男性陣が空港のない山梨で生まれながら航空業界に関わっていました。父親と私は志半ばで山梨に帰って来てしまい、今現在、長男である兄のみが大型旅客機のパイロットを養成する教官として働いております。
さて、山梨といえば山に囲まれた盆地であり、閉鎖的な地域と思われがちですが、現在では中央道があり中央線がありと、都会と行き来するには便利と言えるでしょう。
そんな山梨県ですが、これまでに戦前、戦後、30年程前と空港を作ろうという気運が高まった時期がありました。戦前、戦後時は山梨県民の大きな反対運動があって実現しなかったようです。また、30年前は、全国的に農水省が中心となり全県に一つの空港(コミューター空港/地域航空会社)を作り、農産物の輸送などを行う目的で建設がはじまり、実際に建設された地域もありますが、現在は使われていない空港もあるようです。
その時は山梨では総決起大会など行われ、空港が建設できるのでは、と思えるくらいの気運の高まりもありましたが、費用対効果など検証すると不可能となり、知らないうちに運動が終わってしまいました。
山梨県は2023年7月25日に、県内に空港を設置する可能性について、調査業務をコンサル会社に発注したようです。これまで空港建設が何回か検討され、実現されなかったこともあり、2022年5月に長崎知事が検討を進めると明かし、準備が進められていたようです。
今回は、リニアとの相乗効果を狙い羽田空港の補完機能を果たした形で、定期路線だけでなく、ビジネスジェットやプライベートジェットなど、その他事業用航空機など「いざと言う時に飛行機が発着できる」存在になれることを想定しているそうです。
私は航空機が好きなので嬉しい話ではありますが、前回、空港建設の検討をして不可能と結論に至った経緯があるのに、何故、無駄なお金をかけて検討するのかな、と疑問でなりません。静岡空港の例でいえばあれだけ反対されていたにも関わらず建設してしまい、現在は大きな赤字で県民の大切な税金が垂れ流されている状況です。
空港は建設するのに莫大な費用がかかり、また日々運営していくにも莫大な費用がかかる上、セキュリティーも厳しく相当な費用がかかります。
今回、山梨に空港を建設しようという話に関し、長崎県知事はじめ関係者は、これまでの建設できなかった理由について、検証していないのかと不思議でなりませんし、もし建設できたとしたら空港を保全するために莫大な費用がかかり山梨県は終わってしまうでしょう。
また、山梨に空港をつくるための調査業務を請け負った業者も、これまでの経緯から
「山梨では空港が無理なので調査業務は無駄ですよ」
と断ってくれれば良かったのにとも思うのですが、まぁ調査業務費は無駄です。
もし山梨に空港を考えるならば、甲斐市の日本航空学園が所有する滑走路を利用したコミューターやプライベートのソフトな利用での検討が一番現実的で、お金持ちの外国人の玄関口として利用するならば費用対効果や山梨県の観光産業の底上げには効果抜群でしょう。
山梨県公式ホームページ
学校法人 日本航空学園