社会科の勉強で「二毛作?」「二期作?」「どっちがどっち?」と何度も声に出して覚えていた学生時代を思い出します。
(ちなみに二毛作は年内の異なる時期に同じ場所で2つの作物を連続的に栽培すること。
二期作は同じ場所で同じ作物を1年に2回栽培し、収穫することです。)
今回は、面白い二毛作を見つけました。それは「農業」と「電気」の二毛作です。
東京からおよそ70キロ離れた千葉県匝瑳市(そうさし)飯塚地区は、かつて「過疎化」「不法投棄」「耕作放棄地問題」など、様々な問題を抱えていました。それらを解決するために始めたのが「ソーラーシェアリング」です。
この飯塚地区には、およそ2万4000枚ものソーラーパネルがあり、何とその下に農作物を作り、日本では最大規模を誇るソーラーシェアリングの郷なのです。
40年前には数十軒の専業農家が居たそうですが、その後高齢化で4軒まで減少したそうです。そのような中、9年前にソーラーシェアリングを知った農家の椿さんは、いち早く導入することにしたそうです。設置費用は、運営・管理する会社が負担し、農家は初期費用を掛けることなく、耕作地の上にソーラーパネルを設置するだけで毎年収入が入ります。
椿さんは「雨が多くて不作だったとしても、収入がしっかりと保証されるので安心して農業ができる」と、言っています。1ヘクタールの農地の場合、大豆を栽培すると売上は30万円ほどで、もし不作でも売電収入から年間50万円ほど決まったお金が入る仕組みになっているそうです。つまり、この耕作地では「農業と電気の二毛作」で収入を得ているのです。
また、高齢化が進み、後継者不足だった地域ですが、他県からおよそ60人が移住し、耕作放棄地が次々と復活し、今ではこれまで抱えていた問題が次々に解決したそうです。
このソーラーパネルを設置した耕作地では、お米や栗などを栽培しているところもあるそうです。
また、2019年千葉県に甚大な被害をもたらした台風15号の時は、周辺が1週間ほど停電になりましたが、この時住民を救ったのが、このソーラーパネルの非常用電源設備だったそうです。災害による停電時には、ソーラーパネルで発電した電力を地域住民が無料で利用できるようにしたことで、今、この地域に新たな変化があり、匝瑳市のソーラーシェアリングに興味を持った人たちの移住も増えているようです。
ソーラーパネルでの発電と言えば、地面近くに敷き詰めた黒いパネル発電のイメージしかありませんでしたが、このようなソーラーパネル設置による発電があるとは、とビックリした私です。
これこそ、農水省と経産省がタッグを組み全国に進めていくことで、農家の継続者不足の解決にもなり、その上電気の地産地消ができます。
なんと言っても、食料自給率も挙げられるし、昨今の電力不足の解消策にもなると思うのですが……。
(この記事を書いた後、山梨県でソーラーシェアリングが行われているかを調べてみました。すると、南アルプス市でもソーラーシェアリングが行われていることが確認できたため、併せてURLを記載しておきます。)
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